リセットされた「流れ」を上向きにした新井さん
野球というスポーツにおいて、最も失敗の起こりやすいタイミングは「始まる瞬間」であるといわれている
プレーボール直後の初回。初球。開幕戦。
それまでどんなに実績を重ねていようと、試合は0対0のスコアから、ペナントレースは0勝0敗から始まり、モノによってはそれまでの「流れ」さえもリセットされて始まるのだ
今年の夏も敦賀気比、花巻東という強豪校が初戦で敗れ、昨年も開幕から大型連敗を喫したカープは優勝候補ながらBクラスに沈んでしまった。
そして迎えたオールスター明け、後半戦最初の試合。
オールスター休みは「流れ」をリセットするには充分な期間で、昨夜も中日の好投手・若松の前にカープ打線は6回まで無得点。
しかしラッキーセブンの7回に相手のエラーで1点差にすると、無死満塁とチャンス拡大、ここで逆転できれば先発ジョンソンに勝利投手の権利が付く。
だが、カープ打線は鈴木誠也の犠飛による得点のみで同点どまり。2015年打線のような「先発投手の好投に応えられない」「攻めきれない」流れに傾きかける。
そんななか9回裏、ワンアウト走者なしで新井さんの放ったライトへの打球はぐんぐん伸びてスタンドへ、第11号サヨナラホームランで「攻めきれない流れ」を一球で強引に断ち切った。
後半戦の最初を白星で飾ったカープ。
一旦リセットされ、悪い流れ・良い流れのどちらになる可能性もあった中、「悪い流れ」になりかけていたカープを「良い流れ」へと引き上げた新井さんの一打には、今後のカープの方向性を指し示す「1勝」以上の価値があるのではないだろうか。