黒田200勝はあくまで「広島の通過点」である

 昨日の試合で黒田博樹は日米通算200勝を達成し、広島の町は大いに盛り上がった(そう考えると地上波での中継がなかったことが非常に残念である)

 

 さて、その重大な試合で黒田は7回無失点でマウンドを降りているが、球場のファンからは

「完投してほしかった」

という声が多く上がった。

 7回終了時の投球数は110球前後。9回完投となると140球ほどになる計算である。

 

 確かに、シチュエーションとしては200勝達成の瞬間に黒田がマウンドにいたほうが栄えるものがある。

 一生に一度しかない200勝のゲーム、多少無理をしてでも綺麗に飾った方がよいのではと思った。

 しかし、そんな考え方は甘い考えであったことを、試合後のセレモニーでの黒田の発言で痛感した

 

『チームのために201勝目を目指して準備して、大きな目標に向かってチーム全員で戦っていきたいと思っています』

 

 そうだ、今年のカープ黒田の200勝で終わりではないのだ。

 もし、今年のカープが最下位でシーズンを諦めていたら、ベンチは多少無理してでも完投させ、黒田200勝の瞬間を2016年のカープで最も華やかな瞬間として残していただろう。

 

 しかし今年のカープは違う。新井2000本にも黒田200勝にも負けない「大きな目標」があるのだ。

 そのためには先発の軸となる投手に140球近く投げて完投させるわけにはいかない。

 

 200勝ゲームの7回降板は「大きな目標」の掛った、ここぞの場面の準備のため。

 

 未だカープの選手はそれをはっきりと口に出していないが「大きな目標」への道筋はしっかりと見えているようだ。